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遺留分のよくある相談
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弁護士費用の内訳と内容は、以下のとおりです。
着手金 | 弁護士に依頼した時点でかかるもので、事件の結果にかかわらず、必ず支払わなければならない費用 |
---|---|
報酬金 | 相手方に請求した金額を回収したり、相手方から請求された金額を減額、または拒むことができたりしたなど、事件の結果について支払う費用 |
日当 | 遠方の裁判所への出廷、現場調査のために半日以上の出張が必要な場合に必要な費用 |
実費 | 裁判所へ納める印紙代、郵便切手代、資料取寄せの際にかかる費用 |
これらのうち、実費、日当についてはそれほど多額になることはありません。これに対して、裁判所へ納める印紙代、着手金、報酬金については、遺留分侵害額の金額を基準に算定することが多く、多額になる可能性があります。
弁護士の着手金、報酬金については、以前は、日本弁護士連合会の報酬等基準に基づいて決めなければなりませんでした。しかし、現在では必ずしもこの基準に基づいて算定しなくてもよく、各弁護士によって自由に算定されるようになりました。
ただ、現在においてもこの基準をベースに算定している弁護士が多いので、以下説明していきます。その際、理解が必要となる概念として「経済的利益の額」があります。
遺留分侵害額請求についての着手金、報酬金は「経済的利益の額」を基準として算定します。
ここで「経済的利益の額」とは、紛争が解決したことでご依頼主様が得られた利益のことです。
簡単な例で言いますと、300万円の慰謝料を請求したところ200万円について認める判決を得た場合には200万円、逆に、300万円の慰謝料を請求されたところ200万円に減額できた場合には減額された100万円が経済的利益の額となります。
ただし訴訟の経緯によっては、どの時点で得られた利益を基準にするかで金額が異なります。
着手金と報酬額の具体的な基準は以下のとおりです。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
①300万円以下の場合 | 8.8% | 17.6% |
②300万円を超え3000万円以下の場合 | 5.5%+9.9万円 | 11%+19.8万円 |
③3000万円を超え3億円以下の場合 | 3.3%+75.9万円 | 6.6%+151.8万円 |
④3億円を超える場合 | 2.2%+405.9万円 | 4.4%+811.8万円 |
裁判所へ納める印紙代は、訴額が100万円までなら10万円ごと、100万円超えて500万円までは20万円ごと、500万円超えて1000万円までは50万円ごと、1000万円超えて1億円までは100万円ごとに決められています。詳しくは裁判所ホームページをご覧ください。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file3/315004.pdf
ここでは、いくつか例を示します。
訴額 | 印紙代 |
---|---|
①480万円を超え500万円まで | 3.3万円 |
②950万円を超え1000万円まで | 5.5万円 |
③2900万円を超え3000万円まで | 12.1万円 |
④5900万円を超え6000万円まで | 22万円 |
⑤9000万円を超え1億円まで | 35.2万円 |
以下の遺留分侵害額請求の事例において、裁判所へ納める印紙代、着手金、報酬金を計算してみましょう。
(Aについて)
訴額が1000万円であり、【印紙代】表②により5.5万円です。
遺留分侵害額請求をする場合の経済的利益の額は、請求時を基準とした1000万円です。
和解した場合の経済的利益の額は、事件終了時を基準とした800万円です。
(Bについて)
印紙代は訴訟を提起する原告が負担するため、被告であるBは負担の必要はありません。
被告が弁護士に支払う着手金については何をもって経済的利益の額とするかは弁護士によって異なります。請求する遺留分侵害額を基準に考える弁護士もいれば、和解を想定して請求金額から和解金額を差し引いた額を基準とする弁護士もいます。
かりに、請求金額を基準とすれば
和解金額を800万円と想定して請求金額との差額である200万円を基準とすれば
いずれを経済的利益の額とするか、弁護士に依頼する前に確認しましょう。
和解した場合の経済的利益の額は、請求額から減額を得られた200万円です。
弁護士に対する着手金や報酬金以外にも、遺産に不動産や株式など評価が必要なものが含まれている場合や、遺産の数、遺留分侵害者数が多い場合には費用が加算される場合があります。
また、相手が任意に支払わない場合に必要な強制執行手続きの着手金や報酬金を別途請求する弁護士もいます。弁護士に依頼する場合には、事件の見通しのみならず、費用についても十分に確認することが重要です。